上尾市菅谷の田んぼでピンク色の「クビキリギス」が見つかった。
同市在住の高草木裕子さんは10月初めに田んぼで稲刈りをしていたとき、稲を刈り取った切り口にピンク色のバッタのような虫がいるのに気付き、驚いて写真を撮った。そのまま両手でそっと抱え、自宅に運びペットボトルで飼育を始めた。
体長は頭の先から腹部の先までが約2.6センチ。触覚は2.3センチほどある。初めはペットボトルにキャベツを入れていたが食べる様子がなく、「そうだ、田んぼにいたから」とイネ科と思われる雑草を入れると食べるようになった。高草木さんはネットで調べ、この虫が「クビキリギス」らしいと分かった。他県や外国でもときどきピンク色のものが見つかっているとの情報がある。
高草木さん宅では近所の農家から借りた田んぼで米を栽培している。秋の終わりの除草の際に見つけたキリギスを春まで飼ったことが何度かあるが、ピンク色のキリギスを見るのは初めてだという。同居している義母は時々ペットボトルをのぞき込み「1匹で寂しくないかしら」「冬を越せるかしら」などとクビキリギスを思いやる。高草木さんは「クビキリギスはほとんどじっとしているが足がちょっと動いたりして、心を動かされる瞬間がある。このまま卵を産むとしたら何色の幼虫が出てくるとか、オスのところに嫁にやろうかとか、考えると楽しい。家族みんなでかわいがっている」とほほ笑む。
埼玉県生態系保護協会によると、この虫はキリギリス科の「クビキリギス」のメスの幼虫。通常は緑色や茶色だが突然変異でピンク色になったという。