盆栽町にあった店舗が類焼により閉鎖となっていた和雑貨店「つくりえ」(さいたま市北区盆栽町)が営業を再開して1カ月がたった。
店主の塚田敬子さんが、よりすぐりの和雑貨や手作り雑貨を販売する店として2015年4月にオープンした同店。
店内にはハンドメード作家の委託販売スペースを設置するほか、ものづくりワークショップなどを行い、地元では盆栽町の「和」の雰囲気に溶け込んだ店として知られていたが同年11月、火災の類焼により店舗を閉鎖した。その後、同町商店街の協力で商店街の複数店舗内に「つくりえコーナー」を開設。ワークショップの企画運営などを行うほか、SOGO内の「大宮ロフト」、「大宮マルイ」などで期間限定ショップの出店などを行っていた。
塚田さんは「資金面などから5年後くらいの再開を考えていた。まさかこんなに早く実現するとは」と話す。
新店は築40年の空き家となっていた2階建て5LDKの庭付き戸建てをリフォームした物件内にある。同物件は、さいたま市内で2008年からハーブ教室「Herbal MOMO」を主宰する園藤祐子さんが知り合いを通じて同町の空き家の活用を依頼されたもの。リフォームもワークショップにしながら自分たちで行い、今年9月ハーブ教室など植物について学べる場「みどりの学び舎(や) Pompom House」をオープン。場所に余裕もあるため、共同運営できるパートナーをと以前から知り合いの塚田さんに声をかけたことが「つくりえ」再オープンのきっかけとなったという。
塚田さんは「思ってもいなかった話でとてもうれしかったが、すぐに決断できなかった」と振り返る。最初の店舗をオープンした時は心配や不安などはあまりなかったという。「初めてのことばかりで目の前のことをこなすので精いっぱいだった。今回は、手順などは分かっているだけにいろいろと考えてしまいなかなか始めるという決断ができなかった。つくりえの共同経営者でもある夫が、やりたいならやってみたらと背中を押してくれた」とも。
塚田さんは「スタートしたらやはり『場所がある』というのは良い。前は、ワークショップをやるにしても販売をするにしても場所の確保からだったが、今はやりたいことがすぐにできる。園藤さんのハーブ教室はいつも盛況で、人を集める魅力のある園藤さんには学ぶところも多く、マルシェに参加させてもらったり、ハーブ教室に来た人が和雑貨を購入してくれたりと、この場所で再オープンできて本当によかったと思う」とほほ笑む。
商品は、市内、県内で個人活動している作家による布小物、革小物、陶芸品、和のアクセサリー、衣類、籠染灯籠のほか、今年4月に販売を開始したオリジナル商品の和紙ときり箱の手紙セット「恋文 KOIBUMI」も新装丁のものがそろう。
再オープンは2年前に火災に遭った11月3日。「私にとって一番つらい日だったこの日を上書きして一番良い日にするためにあえてこの日を選んだ。ここからまたスタートしたい」と塚田さんは力強く宣言する。
営業時間は月曜・水曜・金曜の10時~17時。金曜は主にワークショップを予定している。