ベンチャー企業を支援するイベント「埼玉ベンチャーピッチ」が20回を迎え、特別版「『地域資源を活(い)かした新たなビジネス展開」が1月10日、新都心ビジネス交流プラザ(さいたま市中央区上落合2)で行われた。
埼玉県庁やさいたま市、トーマツなどが幹事となり開催している同イベント。「県内を中心とした大企業、ベンチャー企業、金融機関、公的団体でつくるイノベーションを生み出す場の創出」「県を超えたネットワークづくりの支援」「成長意欲の高いベンチャー企業との接触機会を提供することで、大企業の活性化を促す」という目的でおよそ2カ月に1度、大宮ソニックシティ、新都心ビジネス交流プラザなどで開催している。
毎回、「農業」「インバウンド」などテーマに沿った企業が登壇。今回は「地域資源」をテーマに県内のベンチャー企業4社が自社のビジネスについて紹介し、約150人の来場者が熱心に耳を傾けた。
登壇者は、古民家をリノベーションした酒場「すずのや」をはじめとする空き家・空き店舗・遊休不動産のリノベーション総合プロデュースでまちづくりに貢献する「80%」(川越市)の荒木牧人社長、「おふろcafe」ブランドの温浴施設の事業再生や有休不動産の運営受託などを行う「温泉道場」(比企郡ときがわ町)の山崎寿樹社長、「うなぎ煎餅」などのさいたま市の地域資源の商品化やコスプレのイベント企画運営をする「彩の国ブランドフォーラム」(さいたま市浦和区)の菩提寺由美子さん、横瀬町役場まち経営課が窓口となり、町の資源を用いて民間企業、団体とのコラボ事業を展開する官民連携プラットフォーム「よこらぼ」の田端将伸さんの4人。
通常版ピッチでは、各企業がそれぞれ登壇するのみだが、今回は登壇者によるディスカッションも行った。「地域資源活用ビジネス起業のきっかけ」「地域資源を活用したビジネスはもうかるのか」などを話題に率直な意見が飛び交った。質疑応答では、実際に近く廃業する施設の活用方法についてのアドバイスを求められ、切迫した質問に登壇者全員が真剣に回答をひねり出す場面も。
80%の荒木さんは「一緒に登壇させていただいた企業の方とつながることができ、それぞれ試行錯誤で頑張っている様子を拝見して自分自身に新たなやる気が湧いてきた。交流会では参加者のみなさんに好意的な意見を多くいただきうれしく思ったとともに、地域課題は厳しい現状もあるため、みなさんにもぜひそれぞれの地域活動を見てなにかしら動いていただけたらうれしい」と話す。
埼玉県産業労働部産業支援課の尾崎範子さんは「毎回多くの来場者があり、イベント後の交流会でも活発な交流があり、主催側としてもうれしく思っている。今後も皆さまに関心を持っていただき、地域の活性化になるようなテーマを取り上げていくので、参加いただければ」と話す。
次回は3月ごろに開催予定。