2019年度の「子ども大学SAITAMA」入学式が6月29日、芝浦工業大学大宮キャンパス(さいたま市見沼区深作)2号館で行われた。
子ども大学は2002(平成14)年、ドイツのテュービンゲン大学で始まり、日本では2009(平成21)年、埼玉県川越市で初めて「子ども大学かわごえ」として行われた。埼玉県では、同取り組みをモデルに2010年度から子ども大学事業を推進し、現在は埼玉県内で50校以上を展開している。大学の校舎などを会場に、大学教授や専門家が講師となり、子どもの知的好奇心を刺激する講義や体験活動を行っている。
「子ども大学SAITAMA」は2014年度から始まり今年で6回目。さいたま市近郊に在住の小学4~6年生の各学年40人、合計120人が参加する。
「子ども大学SAITAMA」の野原健志さんは「モデルはボーイスカウト。子どもを地域で育てていこうと思う有志と共に、子ども大学の卒業生や保護者も次の年の実行委員となって企画運営から携わることで、次世代へつなげ続ける活動となり、内容も毎年さらに面白くなってきている」と話す。
昨年度から実行委員として参加し、本年度の実行委員長を務める三尾新さんは「『つなげる』が今年のテーマ。クラスを学年別からコース別にして異学年をつなげ、講義と講義もつながりがあるものにしている。子ども本人の志望意欲が高く、それに応えられるよう、子ども実行委員と共に戦略的に考えてきた。子どもたちは『もっともっとできる』と思っていて、できることを見せてくれると思う」と期待を寄せる。
入学式で子ども実行委員長としてあいさつした6年生の平木雄之さんは「いち生徒としては大学や専門学校での体験を将来に生かしたい。実行委員長としては施設や先生方に失礼のないよう生徒に見本となるような行動を示していきたい」と意気込む。
入学式後は、埼玉新聞社の吉田俊一さんが講義「新聞から学ぶ伝える技」を行った。あらかじめ家族の人に「職業について」取材をしてきてもらい、講義の中で実際に記事に仕上げた。吉田さんは「子どもが入学式の司会や進行を行うのに驚いた。講義は大人向けと同じ内容だったが、問題なかった。事前の親への取材をしっかり行って臨み、120人の生徒が集中して記事を書き上げた。今後の講義も頑張ってほしい」と話す。
小学5年生の今井陽くんは「聞いているだけでなく、実際に手を動かしてやることがあったので面白かった」、6年生の保岡あやめさんは「書きたいことがたくさんあり、150文字にまとめるのは大変だった」と笑顔を見せていた。
今後、子どもたちは「着物を通じて日本文化を学ぼう」「オープン前の博物館に潜入してみよう」「赤ちゃん誕生までの道のり」や、プログラミング、農業体験など8講座を受講し、埼玉大学で12月に修了式を行う。