夏期集中講座「地域と芸術文化(盆栽文化を学ぶ)」が7月31日~8月13日に、上尾市の聖学院大学で行われた。
本講座は2014(平成26)年にスタート。昨年からは県内の一般の社会人や高校生にも開放し、今年の受講の申し込みは募集早々に定員の20人に達した。大宮盆栽美術館との共同プログラムで、盆栽師による実技やフィールドワークを交えさまざまな視点から盆栽文化を学び、盆栽に触れる体験的な内容となっている。
8月9日は「もっと盆栽を知る」をテーマに、盆栽村の蔓青園(まんせいえん)で5年間修業後、2018(平成30)年に盆栽園「Tree House Bonsai」(茨城県阿見町)を開園したアメリカ人のアダム・ジョーンズさんが表現力豊かにジェスチャーを交えて盆栽の飾り方を講義した。手のひらサイズの小品盆栽専門の盆栽家、山崎ちえさんの小品盆栽作りのワークショップでは、受講者に真柏の盆栽が用意され「芽かき」や「針金かけ」など盆栽の基本的な技術を実践した。学生や社会人の受講生たちの真剣なまなざしに、山崎さんは「とても熱心でやる気を感じた」と話す。
最終日は「盆栽村を訪れる」をテーマに、学芸員の田口文哉さんが美術館の企画展「清かなる水景~『盆石』の旅」を案内し、庭で盆栽の基本的な見方を説明。座学では「浮世絵と盆栽」について講義をしたほか、午後のフィールドワークでは同大学人文学部長の清水均教授の引率で蔓青園、清香園(せいこうえん)、盆栽村の開拓の中心人物清水利太郎を祭った石碑のある植竹稲荷神社を訪れた。
受講生の同大学1年生・西山小春さんは「盆栽のシャリ(幹が枯れて木質部が白骨化した部分。舎利)がソフトクリームのミックスにしか見えずかわいかった。盆石もやりたくなった」と話す。
清水教授は「地域の大事な文化において大学が役割を果たす意義は大きい。今後も地域の方と共に盆栽を学ぶ場を作っていきたい。多くの方にこの講座を知っていただけたら」と意気込む。