人権啓発ビデオ「カンパニュラの夢」の撮影が10月1日~4日、岩槻区や和光市などを中心に行われた。企画・製作は公益財団法人兵庫県人権啓発協会。
同協会は豊かな人権意識を身に付けることを目的に、人権研修会や学習会での教材となる人権啓発ビデオを毎年企画・製作している。今年のテーマは「超高齢化社会とひきこもり(8050問題)」で、出演は宮地真緒さん、六角精児さん、山田ルイ53世さんら。
同作のテーマ「8050問題」は、ひきこもりが長期化し50代を迎えた子を、80代の高齢の親が支える状態を指し、経済的困窮や地域社会からの孤立などの点で近年社会問題化している。同作は、主人公の主婦が、あることをきっかけに「ひきこもりは誰にでも起こり得ること」だと気付き、ひきこもりが長期化している家族に寄り添い、解決策を求めて行動を起こす物語。
撮影地の紹介やエキストラスタッフの手配などを手掛ける岩槻ロケーションサービス(さいたま市岩槻区城南1)代表の齋藤淳さんは「岩槻は撮影に向く自然や民家のほか、校舎やカフェ、工場など、コンパクトに多種多様なロケ地がそろう町。8050問題も身近な問題になってきているので、今回の撮影にも適地だと思う」と話す。
齋藤さんは、さいたま市産のテレビや映画作品を増やすことを目的に、6年前に同サービスを立ち上げた。約8年前にタウン誌の取材で岩槻の街歩きをしている最中に、岩槻人形店での撮影現場に遭遇。「岩槻のものがテーマになっている撮影が行われているのに、地域の人たちが知らずに終わるのはもったいない」と感じたと振り返る。以降、映画やドラマ、CMなどさまざまな撮影ロケのサポートとして、撮影地紹介、機材・ロケ弁・エキストラスタッフの手配などをワンストップで提供するサービスを展開している。
齋藤さんは、同作に出演するエキストラスタッフをフェイスブック上で岩槻区民を中心に募集。「以前よりも早く定員に達した」と話す。エキストラスタッフとして出演した田中恵理さんは「8050問題を自分事として考えるきっかけになった。ニュースだけでなく、映像で啓発するということが大事な取り組みだと思った」と話す。
齋藤さんは「地道な誘致活動をするなかで、例えばさいたま市が何かの作品の聖地としてより多くの人が訪れる街になればいいなと思う。住む人も『◯◯が撮られた街』と自慢できるようになるのが夢」と話す。「岩槻やさいたまの人たちにこのビデオを見ていただく上映会を設けられたら」とも。
完成は11月下旬で、地方公共団体や企業、学校などの団体向けに教材用DVDとして販売予定。