「生蕎麦(そば)と創作料理 木天蓼(またたび)」(さいたま市西区西遊馬)がオープンして1カ月がたった。
店主の増田享さんは、中学を卒業して15歳から中華料理店で働いた後も創作料理店や懐石料理店、イタリアンバルなどに勤め、店長の経験もあるという。
増田さんによると、開店のきっかけは偶然。「桃月園キャンプ場」を訪れた際、運営者からキャンプ場にピザ窯を作りたいという話が出た。飲食店での経験を元に、増田さんは一からピザ窯を作り、話が出た2週間後には炭を使って焼く「まき窯ピザ」を同キャンプ場の利用客に提供し始めた。キャンプ場に隣接する古民家内に飲食店に使える空き物件があることを聞きつけ、同店のオープンを決めた。
古民家だった空き物件には、以前も飲食店が入っていたが、すぐに使える状態ではなかったため知人の力も借り自らリフォームした。棚やテーブルは一枚板を買って手作りしたもの。店名の「またたび」にちなみ、テーブルにはマタタビを好むとされる猫の足跡を描いている。古民家を生かし隠れ家のような雰囲気作りに力を入れる一方で、店内は明るくし、女性一人でも入りやすいように配慮したという。
料理は、和・洋・中さまざまなジャンルでの経験を生かし、生そばと創作料理をメインに据えている。ランチの看板メニューの一つで土鍋で炊き上げた「肉まぶしご飯」(1,800円)に使う黒毛和牛はA4・A5ランクで、知り合いの業者に卸してもらっているという。長野から直送してもらうというそばは細切りでコシが強く喉越しがよいものを選んだ。「鶏かけそば」(1,200円)のそばつゆは、鶏の骨も一緒に煮出し白濁させた京風水炊きのだしをベースに仕上げた。
メニューはいずれも、上質の材料を使った料理を単品で味わってもらえるようにと創作懐石のコースで最後に提供するような一品をイメージしているという。
現在、桃月園キャンプ場の利用客にも来店してもらえるようなコラボメニューを考えており、今後はまき窯ピザの提供も再開予定。増田さんは「この地域を盛り上げていけるような店にしたい。自分も楽しみつつお客さまにも楽しんでもらえれば」と意気込む。
まん延防止等重点措置期間中はランチタイムのみの営業で、営業時間は12時~16時。火曜、第2・第4月曜定休。ディナーの提供開始は同期間終了後を予定している。