精神障がいのある親とその子どもを応援する活動を行うNPO法人「ぷるすあるは」(さいたま市中央区大戸1)が、2月に発表された第2回やなせたかし文化賞の大賞を受賞した。
精神科の看護師の細尾ちあきさんと医師の北野陽子さんを中心とした同団体。精神障がいや心の不調、発達障がいを抱えた親とその子どもや、さまざまな事情の中にある子どもたちを、絵本やウェブサイトなどの情報コンテンツを通して応援するほか、精神保健に関する普及啓発活動も行っている。絵本は、「ひとりじゃない、話していい、あなたのせいではない」というメッセージを込めて制作しており、子どもから大人まで広く読まれているという。
同賞の発表は、予定されていた2021年2月から1年延期して2022年2月6日に行われた。子どものための漫画、絵本、作詞作曲などの分野で優れた作品制作や活動を行った個人や団体に賞が授与された。
絵本の文と絵を担当する「ぷるすあるは」の細尾さんは大賞受賞について、「びっくりした。精神疾患のある人やその家族に光を当ててくれたようでうれしい」と喜ぶ。
絵本は主に小学校中学年向けに制作されているが、子どもが自ら絵本を購入して読むことは難しい。親と一緒に読んだり、学校の保健室で読んだりして絵本と出合う子どもが多いという。細尾さんは「周りの大人が絵本と出合い手に取ることで、子どもたちも絵本と出合うことができる。今回の受賞をきっかけに、私たちの活動や絵本の存在をより多くの人に知ってもらえたら」と話す。
「ぷるすあるは」は2022年4月で設立10周年を迎える。今年2月には、10代を中心により多くの人に必要な情報を届けられるように、アプリ「おたすけことてん」を新たに開発した。アプリ内では、「生きる」を応援する99個の知恵を掲載している。細尾さんは「今後も必要な人に必要な情報を届けられるように活動を続けていきたい」と意気込む。