花ズッキーニの収穫が4月末、岩槻区でヨーロッパ野菜を生産している農家の森田剛史さんの畑(岩槻区釣上)で始まった。
花ズッキーニはヨーロッパ野菜の一つで、イタリアでは初夏を告げる野菜の一つとして親しまれているという。日本では一般的に食べられているズッキーニの苗に咲く花を食用にする。雄花と雌花があり、雌花には小さな実が付いている。イタリア料理店では、花びらにチーズやひき肉などを詰めて、フリット(揚げ物)として出されることが多い。
さいたま市内では2013(平成25)年に「さいたまヨーロッパ野菜研究会」が結成され、現在は岩槻区内を中心に約20軒の農家がヨーロッパ野菜の栽培出荷に取り組んでいる。花ズッキーニはヨーロッパ野菜の中でもレストランからの需要が高く、森田さんは2015(平成27)年、花ズッキーニの栽培を始めた。現在は森田さんを中心に、市内で数軒の農家が花ズッキーニを栽培・出荷している。
今年の花ズッキーニは、4月の降雨量が少なかったため、例年に比べて生育が遅めだという。5月中旬から6月中旬にかけて収穫ピークを迎え、7月下旬まで毎日収穫が続く。
大田市場の仲卸業者「カネブン青果」の鈴木大樹社長は「日本ではまだ花ズッキーニの産地は少なく、千葉県や静岡県などで少量栽培されている程度にとどまる。森田さんの花ズッキーニは花びらが大きく厚みがあり、日持ちがするのでレストランからの評価が高い」と話す。
2019年、大阪で開催されたG20サミットの首脳会合ランチで、森田さんの花ズッキーニがメイン料理の食材として採用された実績も持つ。コロナ禍の影響で一時需要が落ちたものの、最近は全国から注文が入っているという。
「品質の良い花を収穫するため、実をとらずに毎朝全ての花をつんでいる。試行錯誤を重ねて、高い品質の花ズッキーニを栽培するノウハウを編み出した。今後は栽培ノウハウを共有しながら、地元の生産者を増やしていきたい」と森田さんは話す。
花ズッキーニはさいたまヨーロッパ野菜研究会のアンテナショップ「ヨロ研カフェ」(岩槻区)をはじめ、市内小売店やネットショップなどで扱う。