補助犬専用のトイレ「補助犬トイレ」が4月1日、JRさいたま新都心の改札内(さいたま市大宮区吉敷町4)に設置された。
右手用・左手用の2つの多目的トイレと同時に設置された同設備。介助犬を連れた車いすユーザーが犬の排泄物を処理しやすい高さの排泄スペースや、汚れを流すシャワー、手洗い器、リードをつなぐフックを整備する。
補助犬とは、盲導犬、聴導犬、肢体不自由者の日常生活のサポートをする介助犬の総称で、2002(平成14)年に制定された「身体障害者補助犬法」で定義付けられている。同法の制定以前は、国内では盲導犬のみが活動しており、聴導犬・介助犬が誕生したのはそれ以降。現在は全国で1061頭の補助犬が活動している。同法は、公共施設や、レストラン・コンサート会場などの民間事業所における補助犬同伴を拒むことの禁止、もしくは拒まないよう努める努力義務を定める。日本補助犬情報センターの橋爪さんは「同法の制定をきっかけに、全国的に補助犬トイレの設置が広まってきた印象がある」と話す。
補助犬ユーザーは、パートナーである補助犬の排泄のタイミングや癖を把握しているため、外出前に用を足させたり、外出先でもマナーを守った排泄ができる道具を利用したりしている。一方で、ホテルや空港など、屋内での滞在時間が長くなる場合は、施設内・もしくは出入り口付近に同設備や専用スペースが確保されているとユーザーも補助犬も安心して外出を楽しめるという。
橋爪さんは「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに向けて、身体障がい者をサポートする取り組みや設備設計が広がっている」とし、現在建設中の新国立競技場でも同設備の設置が予定されているという。JR東日本大宮支社の君和田勉さんは「さいたま新都心駅周辺には、大きな病院や多目的イベントホール、ショッピング街が建ち並び、多くお客さまが利用される。さまざまな方のニーズに応える駅づくりで、皆さまの外出の機会をサポートできれば」と話す。
橋爪さんは「ペットの犬と同様、屋外での排泄もしっかり訓練できている補助犬たちなので、施設の屋内外にちょっとした専用スペースが確保されているだけで、ユーザーも補助犬も安心できる。補助犬連れには声を掛けてはいけないと思われがちだが、もしユーザーが困っている様子なら『何かお手伝いできることはありますか』と声を掛けてあげてほしい」とも。