新たな公共空間創出の社会実験「おおみやストリートレラス@一番街」が現在、大宮駅東口にある大宮一番街商店街(さいたま市大宮区宮町1)で実施されている。
昭和の雰囲気の漂うアーケード商店街・大宮東口一番街商店街の道路空間にテーブルを置いて飲食などを楽しむ場所を作り出し、地域の人に3密を避けながらコロナ禍の渦中でも地域を楽しめる活動をしてもらおうという同社会実験。主催はおおみやストリートテラス@一番街実行委員会で、コーディネーターとしてアーバンデザインセンター大宮(UDCO)が関わっている。
同団体は、大きな都市再生事業が進められている大宮駅東口地域での各種プロジェクトに関わる企画、コーディネートなどを担う都市再生推進法人。道路整備に着目して快適な道路空間の創出を目指す「ストリートテラス」に取り組んでいる。
国土交通省が、コロナ禍において道路空間をもっと都市生活に生かそうと「新型コロナウイルス感染症の影響に対応するための沿道飲食店等の路上利用に伴う道路占用基準緩和」を示し、その適用を大宮一番街商店街に相談して、埼玉県内で初めて実施されることになったという。
今回のプロジェクトには、商店街組合31店舗のうち13の店舗が参加している。近年、同商店街では店舗の出入りが激しく、チェーン飲食店が増えている中で、商店街としての横のつながりを高めようと企画した。推進体制は、飲食店に食材を卸している関東食糧が個々のお店にプロジェクトへの参加を働き掛け、UDCOが計画、デザインなどと道路占用許可関係の手続きを担当しているほか、県内・県外の複数の企業が協賛している。
道路幅員5メートルの両側にある飲食店が店舗前から1メートル以内の場所にテーブルなどを置き、飲食を楽しめる空間を提供している。道路に白い枠を設定し、統一したデザインのうちわやポスターなどを置くことで、商店街全体で行われているというさまを表現している。
UDCOの新津瞬さんは「この商店街は歩行者調査をしてみると1日1万人を超える可能性があるので、商店街に調和しながらも通る方の目を引き、店へ立ち寄ってもらえるような仕掛けを心掛けている」と話す。
商店街理事長の加藤眞男さんは「商店街としての活動が停滞していることに加えて、コロナ禍により例年開催しているイベントが中止になったので、この新たな取り組みに期待している」と言う。「今回の取り組みにより、店の前の道路掃除をする店が増えてよりきれいになった。歩いている人たちに商店街の変化に目を向けてもらえたら」とも。
開催時間は各店舗の営業時間に準ずる。11月29日まで。