小学校の教室に遮熱対策を施すワークショップが8月5日、芝川小学校(さいたま市大宮区天沼町2)で行われた。
埼玉で活動する「さいたま断熱改修会議」のメンバーが、芝川小学校・芝川小 PTA会・芝川小おやじの会とともに「あついぜ さいたま!芝川小・断熱フェス2022実行員会」を立ち上げ企画した同ワークショップ。同小の教室の断熱・遮熱対策を施し、効果を検証するための取り組みの一環として行った。
地元工務店などの有志が参加する「さいたま断熱改修会議」は、2019年から市民向けの断熱セミナーを開くなどの活動をする中、「小学校で断熱や遮熱対策をすることで、地域の人たちにその重要性を知ってもらえるのでは」と考えたという。地域のつながりで、芝川小学校と縁ができ、小学校との協議の上、実際の小学校の教室を使った取り組みを実施することになった。
同団体事務局長の佐竹隆一さんは「ヒートショック対策など古い住宅では寒さをいかに遮断するかが住宅を快適に変えるためのポイントになっているので、断熱といえば寒さ対策を行うことが多かった。今回の改修に当たり、先生方に話を聞くと、『子どもたちには寒さより暑さが辛そうなので、暑さ対策をしてほしい』と言われ小学校の現状を改めて確認した」と話す。同団体顧問の東京大学大学院の前真之准教授とともにサーモカメラなどを使いながら教室内の天井や壁など各所の温度を測定し、各所にどのような遮熱対策ができるかを検討し準備を進めた。
今回対象となった4年1組は、1974(昭和49)年に建てられた鉄筋コンクリートの校舎の最上階の南端にあるため、気温が上がると「いくら冷房をかけても涼しくなりにくい」という。コロナ禍では定期的に窓を開けて換気を行うこともあり、余計に教室内の気温が下がらない。
ワークショップは午前・午後の2部制で、それぞれ15人程度が参加し、天井、壁、窓に対策を行った。普段は目にする機会の少ない断熱の素材に実際に触れながら、専門家の説明や指導の下に作業を進めた。実際に隣の教室を使っている4年生の佐藤沙織さんは「私たちの教室もいつも暑い。初めて知ることも多かったし、自分たちが普段使う場所で実際に作業ができて面白かった」とほほ笑む。同小卒業生で現在は県外で小学校諭をしている20代女性は「普段自分もクーラーが効きにくい教室で暑い中児童と一緒に勉強しているので、どのようになっているか知りたいと思って参加した。教室の一部を改装するなど、初めてでいい経験ができた」と話す。
同取り組みでは企業からの材料の協賛を活用するほか、現在、クラウドファンディングで協力を呼びかけている。佐竹さんは「開始2週間で目標額を達成することができた。次の目標として100人支援を目指している。今回対象となった4年1組の隣の2組・3組も夏の暑さが深刻と聞いているので、そちらにも対策を講じたい」と話す。クラウドファンディングは8月18日まで。