埼玉県内を中心とする全国の中小企業・団体が出展するビジネスマッチングイベント「彩の国ビジネスアリーナ2020」が1月29日・30日、さいたまスーパーアリーナ(さいたま市中央区新都心8
)で開催された。
「新時代を彩る、埼玉の技術力!」をスローガンに開催した同イベントは、今年で17回目。「製品」「加工技術・部品」「環境・エネルギー」「IoT・IT」「ロボット」など、産業分野別にセクション分けされた会場には、埼玉県内外から約680企業・団体が出展。商品やサービスの紹介を行ったほか、同時開催セミナーや、自動運転バスの試乗会など、幅広い内容で展開した。
埼玉県内のめっき事業者を中心に構成される「埼玉県鍍金(めっき)工業組合」は、製品製造などに必要なめっきと、それを扱う事業者を検索できる専用サイト「埼玉めっきサーチサイト『SMSS』」を紹介。必要なめっきと、それを取り扱う同組合内の事業者を検索できる。同組合総務委員長の饗場(あいば)功治さんは「検索サイトは今月29日にサービス開始したばかり。手軽にめっきについて情報収集できつつ、当組合事業者の仕事受注の機会を広められれば」と意気込みを見せる。同イベント1日目にサービスを開始したサイトには、2日間の会期中で約250件のアクセス数があったという。「今後どんどんブラッシュアップしていきたい」と饗場さん。
同イベント担当で埼玉県産業振興公社の久保佳代子さんは「以前はITやロボット産業などの数は少なく、セクション自体なかった産業分野もある」と話す。ロボットセクションに出展した「グローリー」(兵庫県姫路市)は、「カワダロボティクス」(東京都台東区)と共同で、双腕ロボット「NEXTAGE(ネクステージ)」を紹介。「人と一緒に働くヒト型ロボット」をコンセプトに、カワダロボティクスが製造・提供したロボットに、グローリーが動作のティーチング、および周辺装置の開発・製作を手掛ける。片腕ごとに異なる動作を同時に行うことで複雑な作業が可能となり、主に医薬品や化粧品業界の生産の現場に導入されているという。グローリーの北村太さんは「加須市に埼玉工場を構えていることもあり、近隣の企業がブース見学に来られるなど地域的なメリットも感じる」と話す。会場では、両腕でユーザーが指定したチョコレートをつかみ、名刺と一緒にビニール袋に入れてユーザーに提供する作業を行う「チョコロボ」が細かな動きを披露し、多くの見学者に囲まれた。
会場外では、埼玉工業大学が発表した自動運転バスの試乗会を実施。同車は、障がい者用自動車などに整備される「ジョイスティック運転システム」を搭載した自動車に自動運転AIを実装したもの。開発を手掛けた同大学工学部の渡部大志教授は「昨今は高齢者をはじめとした『交通弱者』と呼ばれる人々が増えていることが課題。運転手不足も問題視されているが、同バスがその問題の解消につながるとも考えている」と期待を込める。
30日に同時開催した埼玉県と埼玉県産業振興公社共催のセミナーイベント「彩の国ベンチャーマーケット」には、埼玉県内で展開、または展開予定のベンチャー企業6社が登壇したほか、特別講演として埼玉県のベンチャー企業で一部上場の「システムインテグレータ」代表取締役社長の梅田弘之さんが講演。「ベンチャー事業で成功するための5つのポイント」というタイトルで、代表者としての視点や考え方について事例を交えながら紹介。「会社経営は子どもの成長と同じで、うまく行くときもあればそうでないときもある。数字だけに左右されず、創業時に描いた理想を常に忘れないこと」などと説明し、メモを取る参加者も多く見られた。
久保さんは「彩の国ビジネスアリーナは、毎年だいたい同じ時期に開催しており、『1月末はビジネスアリーナ』と認識してくれる企業・団体も増えてきた。新しいサービスや商品、企業同士の出会いの場になれば」と話した。