生パスタとベーグルサンドの専門店「ichi」(さいたま市見沼区御蔵)がオープンして1カ月がたった。
埼玉県産小麦「ハナマンテン」をはじめ、埼玉県産の食材を多く使う同店。店主の角井仁志さんは「なるべくフードマイレージを抑え、近隣の農家やお店と助け合いながら店を営業していきたい」と話す。店先ではサンドイッチにも使う近隣農家の野菜や果物の直売も行う。
埼玉県出身の角井さんは、埼玉県内で約12年間居酒屋店を経営した後、都内のカフェで働いた。「都内の飲食店での経験を積みたかった」と角井さん。以前から地域に根差した飲食店を開きたいという思いがあり、同店のオープンに至ったという。見沼区や西区の農家の取れたて野菜や果物のほか、店から数分の場所にある精肉店「中谷商店」の豚肉やハムを使うなど「地域の助け合い」を意識しているという。
サンドに使うベーグルにもこだわる。ベーグルは角井さんの母が営む大宮区のベーグル専門店「小春日和」のものを毎日仕入れる。季節の食材を使い完全手作りの小春日和のベーグルにはファンも多く、ichiではプレーンとふすま粉の2種類のベーグルを使ったサンドイッチを提供する。角井さんは「母のベーグルを仕入れながらも、ときどき母の店でサンドイッチを売ってもらうこともあり、互いに助け合っている感じ」とほほ笑む。
角井さんは三人兄弟で、長男は大宮区のベーグル専門店「Bagel Lapin」の店主、次男は北海道でベーグル店を経営しており、「今となっては家族皆がベーグルに携わる仕事をしている」と笑顔を見せる角井さん。中谷商店の生ハムを使った「中谷商店さんの生ハムサンド」(630円)、蓮田市のハチミツを使った「ハニーマスタードチキンサンド」(580円)などのおかず系のほか、西区のいちごを丸ごと挟んだ「イチゴサンド」(350円)、大宮区の木下製餡のあんこを使った「あんバターサンド」(300円)など、おやつ系もそろえる。
店で粉から手作りする生パスタには埼玉県産小麦のハナマンテンやあやひかりを使う。手打ちのフェットチーネで、岩槻区の「当摩たまご」と中谷商店のサラミを使った「濃厚カルボナーラ」(1,200円)、見沼区の小林農園のトマトを使った「トマトソースパスタ」(1,080円)など、現在は1日15食限定で提供する。
角井さんは「緊急事態宣言の状況もあり、ベーグルサンド先行販売でオープンしたが、リピーターが増えるなど少しずつ認知が広がっている感覚がある。イートインがメインの生パスタだが、ご好評やご意見をいただくなど、毎日が試行錯誤。地域で一丸となって、お互いに助け合いながら楽しく営業をしていければ」と意気込む。
営業時間は水曜・木曜=10時~18時、金曜・土曜=10時~22時、日曜=10時~15時。月曜・火曜定休。