走ることでコンゴの女性を支援-さいたまシティマラソンにリサ・シャノンさん

マラソン後にインタビューに応じる、リサ・シャノンさん

マラソン後にインタビューに応じる、リサ・シャノンさん

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 3月24日に行われた「さいたまシティマラソン」に、マラソンを走ることでアフリカ・コンゴの女性を支援する活動「ラン・フォー・コンゴ・ウィメン」のリサ・シャノンさんが参加し、ハーフマラソンを走った。マラソンを走り終えたリサさんに話を聞いた。

リサ・シャノンさんと、英治出版の担当者

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 リサさんはアメリカ・オレゴン州出身の38歳。2006年、アメリカの有名なトークショー番組の中で、コンゴの女性が置かれた状況を知った。「コンゴでは、内戦のために第二次世界大戦以降最も多い540万人が犠牲となり、今も暴力が横行している。その中で、特に多くの女性が虐げられている」。番組を見たリサさんは早速行動に移る。コンゴの女性を支援している「ウィメン・フォー・ウィメン・インターナショナル」の寄付者登録を行い、関連する本を読み勉強を始めた。

 その一方で、この事実をより多くの人に知らせようと、友達や家族に話をしたが、誰もコンゴの女性たちが置かれた状況については知らなかった。そこで、「自分が通常では成し得ないような極端なチャレンジをすることで、同国の状況を知らせるとともに、チャリティーを集めることを思いついた。それが走ることだった」とリサさん。「走るのが得意ではない私がマラソンを走ることは容易ではないこと。だからこそ、真剣に取り組んでいることを伝えることができる」。最初は5マイルからスタートしたトレーニングも、6カ月続ける中で徐々に距離を伸ばしていった。その結果、最初の挑戦では予定を大きく上回る80人からサポートを受け、寄付を行うことができた。

 やがて、チャリティーでのマラソン挑戦を続けるリサさんを応援する輪が瞬く間に広がっていった。同年には「ランナーズ・ワールド」誌による「ヒーロー・オブ・ランニング」に選出され、自らコンゴのことを知るきっかけとなったトーク番組に、ヒラリー・クリントンさんやニコラ・クリストフさんらと共に出演した。

 リサさんは、2007年と2008年に初めてコンゴを訪問。紛争被害に遭った女性に直接話を聞いた。「その時に会って話をした女性のほとんどが被害者であり、状況は思っているよりも悪かった。しかし一方で、コンゴの女性たちは『私は幸せ』を意味する『フラハ』という言葉をよく口にしていることに驚いた」

 帰国後、コンゴの女性たちの証言を集めた「私は、走ろうと決めた。」(原題:A Thousand sisters)を出版。さらに、ソマリアの女性を支援する「シスター・ソマリア」など、より多くの人にアフリカの女性が置かれた現状を伝え支援する活動を行っている。

 今後の活動について、リサさんは「女性に対する暴力を禁じる包括的な国際法の制定に向けて動きたい」と話す。そのために、リサさんは現在、ハーバード大学で国際法の勉強をしている。

 次々と活動を展開する原動力については、「コンゴの女性との対話が私を支えてくれている。人生の中で、人間性を壊すような体験をしたにもかかわらず、彼女たちは前を向いて歩いている。私にも家族のように接してくれる彼女たちのために活動を続けたい」と。

 今回の来日は、日本語版「私は、走ろうと決めた。」(英治出版)の出版がきっかけ。さいたま市の印象について、「誰も私を知らないのに、子どもから高齢者まで、沿道で声援を送ってくれたことに感激した」という。日本の読者に向けて「本を読んで、コンゴの女性の証言から、私と同じように感じて欲しい」と呼び掛ける。

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