彩の国さいたま芸術劇場(さいたま市中央区上峰3)が現在、同劇場芸術監督の近藤良平さんが手がけ、4年目となる文化探索プロジェクト「埼玉回遊」の訪問先を募集している。
振付家・ダンサーとしても活動する近藤さんは2022年、故蜷川幸雄さんの跡を継ぎ、3代目の芸術監督に就任して以来、「クロッシング」(交差する)をテーマに人や地域と交流し、開かれた劇場を目指してきた。
「埼玉回遊」は、2023年に劇場がリニューアル工事によって一時期休館する間、近藤さんの「ならば、自分たちが劇場の外に出て皆さんの元を訪れよう」という思いから始まったプロジェクト。「アートを軸にした新しい埼玉の民俗誌を作り上げる」ことを目標に、埼玉県の各地を巡り、地域のものづくりや文化的な活動をする人と出会い、交流。近藤さんならではの視点を通して、改めて埼玉の魅力を発見、紹介している。
「人と人とをつなげたい」との思いから、訪問先は推薦者による「他薦」限定で募集。「埼玉のすてきな人、そっと教えてください」をキャッチフレーズに、「埼玉県内ですてきな文化に携わる個人、団体」を対象にしている。初年度は123件の応募があり、近藤さんが選んだ25カ所を訪問。翌年には出会った人々と共に舞台作品を制作し上演した。
これまでの3年間で訪れたのは埼玉の東部、西部、北部、秩父エリアの37カ所。川越市の木遣保存会、八潮市の藍染工場、行田市の足袋工場、美里町のブルーベリー農園など、地域の伝統工芸から美術、食、農までジャンルも幅広い。さいたま市西区で盆栽園を営む平尾成志さんや、浦和区に2022年にオープンした「U.B.P BREWERY」店主の小林健太さんらを紹介した。
今年は5カ所程度を予定しており、訪問の様子は「埼玉回遊」特設サイトで写真やドキュメンタリー映像で紹介する。同劇場事業部の荻原文子さんは「回遊がきっかけで劇場の創作活動に参加してもらうこともあり、出会いを通じて新しいものが生まれたり、アイデアが広がったりするのもこの企画の魅力の一つ」と話す。「ジャンルや有名・無名を問わず、自分が面白いと思う人、物、事を教えてほしい。会ったことがなくても、『あの酒蔵の人に会いたい』という推薦も歓迎。採用されると回遊に同行できるので、ぜひ積極的に応募を」と呼びかける。
募集期間は5月31日まで。選考結果は6月30日までに応募者にメールで連絡する。