「文豪・太宰治ゆかりの地と武蔵一宮氷川神社を巡るガイドツアー」が6月30日に行われ、小説「人間失格」を書き上げた滞在跡地(さいたま市大宮区大門町3)や参道を歩き、同神社の神事「茅(ち)の輪くぐり」で半年の穢(けが)れをはらった。主催は「大宮観光ボランティアガイド会」。
2011(平成23)年に「大宮好き」の市民で設立した同会。「鉄道のまち」「芸術・バラ・七福神の与野」などをテーマに毎月ツアーを企画し、旧大宮市・旧与野市の「知る人ぞ知る魅力的な史跡・文化施設・自然」を案内している。
同ツアーは太宰の命日「桜桃忌(おうとうき)」の6月19日に近く、「夏越大祓(なごしのおおはらえ)」の時期であることから企画した。JR大宮駅に集合し、8人程度の班に分かれて出発。大宮門街(かどまち)内にある、街を俯瞰(ふかん)する壁画でルートを確認し、氷川参道にある「平成ひろば」、太宰の滞在跡地やゆかりの店などをたどった。参道では鳥居や神社の歴史を聞き、生息する日本最小の猛禽(もうきん)類のツミなどを観察しながら境内へ歩みを進めた。
太宰が滞在した小野沢清澄宅跡地には現在、住宅やマンションが立つ。筑摩書房の古田晃社長夫人の姉が「宇治病院」に嫁いでいた縁で同所を紹介され、亡くなる約1カ月前、愛人の山崎富江と2週間ほど滞在した。ガイドの矢城勇さんが「当時、太宰は熱海の起雲閣で『人間失格』を執筆していたが、人の往来が多くて落ち着かず、大宮に来て書き上げた」と説明すると、「知らなかった」と多くの参加者が驚きを見せていた。一方で「父親が太宰と高校の同級生だった」という女性もおり、伝え聞いた太宰の姿を話す場面もあった。
同日は「大祓の神事」の日。氷川神社の神橋に設けられた「茅の輪くぐり」や、境内の「人形(ひとがた)」の奉納所で行列ができていた。参加者も列に並び、今年上半期の穢れを落とし下半期の健康を祈願し、かつて禁足地だった「蛇の池」に向かった。最後は、宗像神社を参拝して解散。浦和区から参加した女性は「この神社には介護で息が詰まっていた時期、片道1時間ほどかけて度々参拝した思い出の場所。『蛇の池』は初めて知った。新しい散策ルートができた」と喜ぶ。
矢城さんはガイド歴3年。「歴史とウオーキングが好きで、妻に勧められて始めた。いろいろな方と話しながら散策できるのが楽しい。これからも地域の良さを伝えていきたい」と話す。
次回は8月1日、「武蔵一宮氷川神社 例大祭」のツアーを行う。参加費は、一般300円、小学生以下無料(要保護者同伴)。