毎年ハナショウブの開花に合わせて6月の1カ月間だけ開園する「染谷花しょうぶ園」(さいたま市見沼区染谷2)で現在、約150種類、2万株ほどのハナショウブがピークを迎えている。今年は昨年より開花の時期が早いという。
1983(昭和58)年に同所で植木の生産販売業を営む染谷植物園が、敷地の北側にあった低湿地帯を整備して開いた同園。先代の社長が福岡県柳川市の観光名物である川下りのコース沿いにあるハナショウブを見たのをきっかけに、同所でハナショウブを栽培することを思い付いたという。作物や植木が育ちにくい荒地だったが、地質調査を依頼したところハナショウブの栽培に好適な土地との結果が出たため、生育環境を整えながら各地の菖蒲(しょうぶ)園を訪ねて研究を重ね、開園にこぎ着けた。
およそ8000平方メートルの園内には、白、紫、黄色のハナショウブやアジサイが広がり、八つ橋や花見台、あずまや、茶室などの施設を備える。施設の材料は日本人になじみのある竹や木、石などの天然素材を使っている。茶室は、先代が「敷地に合う小さめの茶室を作りたい」とさまざまな茶室を見て回り、福島県会津藩の松平家が使った茶室を参考に建築したという。
開園中は隣接するハウス内で、同園が手がける苗木や草花を販売する。ハウスの一角には、地元農家が収穫した新鮮な野菜も並べる。社長の高橋慶治さんは「菖蒲園の開園当時から協力してくれる地域の人たちの力になりたい」と話す。
高橋さんによると、ハナショウブは江戸時代に野生のノハナショウブから育成された日本原産の園芸植物で、江戸系、肥後系、伊勢系の3タイプがあり、品種改良により新しい種類も生み出されているという。近年は気候の影響で開花の時期が早まっているため、同園ではできるだけ6月いっぱい見てもらうために、早咲き、中咲き、遅咲きの中でも遅咲きのものを多くするなどのコントロールを行っている。
6月の開園期間以外も、一年を通して株分けや苗の植え付け、草むしりや殺虫剤の散布、土の入れ替えなどの手入れを行っているという。高橋さんは「ハナショウブは管理が大変な植物で、継続が難しくなる園も少なくない」とし、「『染谷花しょうぶ園』の名は、大宮市長だった馬橋隆二さんに付けてもらった。このハナショウブをできる限り残していきたい」と意気込む。「今年、障害者用の駐車場と車いす用の通路を増設した。ぜひ多くの人に来てもらえたら」とも。
開園時間は9時~17時。入場料は、中学生以上=500円、小学生=200円、75歳以上=平日200円、土曜・日曜500円。6月30日まで。