大宮で「デコッパ卓球選手権」-デコレーションスリッパで障がい者と対戦交流

初めてボールを打ち返すことができた喜びを語る傳田さん

初めてボールを打ち返すことができた喜びを語る傳田さん

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大宮武道館(さいたま市見沼区の)で10月13日、「第3回 デコッパ卓球選手権」が開催された。企画は、障がい者施設の授産製品開発を支援する団体「クッキープロジェクト」。関東一円から31チーム約100人が参加した。

色とりどりのデコレーションスリッパ「デコッパ」

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 障がい者と支援者のスポーツ交流を目的に開く同大会。フェルトやシールなど、お気に入りのデコレーションで色とりどりに飾ったスリッパ「デコッパ」を使い、卓球勝負を繰り広げる。この日は、トーナメントを勝ち抜く「競技部門」と、デコレーションの人気投票を行う「アート部門」でしのぎを削った。

 競技では、サーブの方法を簡易にしたほか、介助者の補助が必要な障がい者はダブルスを認めるなど、「障がい者と支援者の差をできるだけ無くすようにルールを設定している」と担当者。試合前には、お互いのラケットを交換し褒め合うことも義務化し、参加者は「かわいいですね」「これは力作ですね」と声を掛け合い、交流を楽しんでいた。

 個性あふれるスリッパが並ぶ中、技能賞を獲得したのは、車いす利用者専用に開発された「バリアフリーデコッパ」を開発した地元の町工場・氷川工作所(さいたま市南区)。昨年から連続出場している車いす利用者の傳田ひろみさんからの依頼を受け、車いすに座りながらでも球を打ち返すことができるよう、軽い素材を使い、伸縮する棒やグリップを取り付けるなど、工夫を凝らしたラケットを完成させた。

開発を担当した同社の寺澤さんは「てこの原理を応用することなども考えたが、『打つ』という実感を持てるよう、バランスが難しかった」と苦労を話す。ラケットの制作を依頼した傳田ひろみさんは、「昨年は1球も打てなかったが、今回は何球か打ち返すことができ、最後の1球はネットを飛び越え相手側に落ちた。生まれて初めての経験だった」と笑顔を見せていた。

 総合優勝は、パン屋・NPO職員・建築家・車いすの小学生という、異色な組み合わせのチーム「フレンズリッパ」。デコッパを巧みに操り、競技部門で優勝、アート部門でも4位に入り、総合優勝を果たした。総合第2位には、アート部門で「愛犬」をモチーフにしたデコッパで人気を集めた「毎日興業Bチーム」が入賞した。

 今年初めて参加した福祉職の女性は、「障がい者と支援者が『ゆるさ』も持ちながら、自然に触れ合えるすばらしい取り組み。また参加したい」と話す。

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