重度障害と向き合いながら、口を使って「自分の色」を描き続ける森あや音さん、愛称「ねっちゃん」の個展が現在、日進公民館(さいたま市北区日進町2)で開催されている。
あや音さんは、3歳の時に患った急性脳症により重い障害が残り、「動けない、しゃべれない」状態になった。母親の森かずえさんは「歌やダンスが大好きな女の子が一晩で重度の障害を負った。医師には『誰のせいでもない』と言われたが、自分のせいではないかと思って辛かった」と振り返る。あや音さんが「絵」と出合ったのは4年前。重度脳性まひの作家たちが参加する「成長する絵画」の教室を訪ねたことをきっかけに絵画活動を始めた。現在は自宅にアトリエを設け、月1、2回、大学生のサポートを受けながら創作を続けている。
あや音さんの作品作りは色選びで始まる。支援者が123色の「色カード」を一枚一枚見せ、一色ずつ使いたい色を選ぶ。あや音さんの意思は、表情や体の動きから読み取るという。支援者が絵の具を用意すると、あや音さんは筆を口にくわえてキャンバスに色をのせる。筆を落とした時が「終わり。色を変えたい」の合図だという。
今回の個展は、教室に通っていた4年前から描き続けてきた大作と、自宅アトリエで描いた色とりどりの作品7点を展示。作品は、あや音さんが選んだ。かずえさんは「2時間で描き上げたものもあれば、じっくり2カ月かけて完成した作品もある。その時の気持ちが色選びに表れているよう」と説明する。中でも「モスグリーンの作品」は「最初は真っ黒だった」という。「これで完成なのだろうかと様子を見ていたら、ブルーやグリーンを重ねて塗った。周囲から『モネの池みたい』と反響があった」と話す。
展示は、同館の岩崎まさみ館長からの声がけで決まった。岩崎館長が担当する聖学院大学の講座のゲストスピーカーとして登壇したかずえさんが「ねっちゃんの個展を開くのが夢」と話したことがきっかけだったという。かずえさんは「重度障害があっても、力を引き出す方法が見つかれば、自由に表現を楽しめる。希望があることを多くの人に知ってもらいたい」と話す。
開館時間は、9時~21時30分。7月31日まで。