見る・遊ぶ

大宮でアート展「わたしたちの種」 古着ニットの糸で「未来へ届ける種」

種の先には山本さんが祖父から譲り受けた数十年前の紳士服のボタンが使われている

種の先には山本さんが祖父から譲り受けた数十年前の紳士服のボタンが使われている

  • 24

  •  

 山本彌(やまもといよ)さんの展示「わたしたちの種」が現在、大宮門街(大宮区大門町2)5階・レイボックホール情報発信コーナーで行われている。「さいたま国際芸術祭2023」のプログラムの一環。

山本彌さん(左)とさいたま国際芸術祭実行委員会事務局の井上楓菜さん(右)

[広告]

 多摩美術大学でテキスタイルを学んだ山本さんは28歳の時に病気で死を意識した経験から、「植物や菌類の生命力に勇気をもらいオブジェの制作を始めた」という。これまでに作品はセレクトショップや書店のディスプレー、見本市のメインビジュアルとして採用されている。作品制作の傍ら、子どもを育てながら近所の公園でプレイパークを主催するなど、地域の子どもたちの遊び場づくりにも取り組む。

 さいたま市で3年に1度開催されている「さいたま国際芸術祭」は市民、アーティスト、地域が交流し、「共につくる、参加する」市民参加型の芸術祭。「わたしたちの種」では7月から市民にニットの提供を募り、9月23日にプレイベントとして「未来の種をつくるワークショップ」を開催した。

 ワークショップではニットの毛糸を18人の参加者がほどき、糸に戻していった。山本さんは「提供されたニットは子どもや親の着ていた古着のニット、手編みも機械編みもあり、さまざまな時代の『使っていないけれど手放せないもの』があった。糸が簡単にほどける箇所もあれば、なかなかほどけない箇所もあった」と話す。参加者の年代も性別もさまざまで、ニットの解体に黙々と熱中する人もいたという。

 ワークショップで制作した「未来の種」は、参加者が「未来に遺したいもの」を紙に書いて、ほどいた毛糸でぐるぐる巻き、思い思いの形で作った「種」。山本さんは「種を見てその時の『自分自身が大切にしたいことって何だろう?』と心を見つめた思いを記憶してほしい」と話す。

 展示では、市民から提供されたニットをほどき、「ヘアピンレース」というかぎ針とUピンのような形状の器具を用い、山本さんがインスタレーションに使う「種」を作り、会場に配置した。

 山本さんは「これまでは作品は一人で制作してきたが、地域の方々と関わり作ることで表現の幅が広がった。見に来て何かを感じてもらえたら」と呼びかける。

 開催時間は9時~22時。閲覧無料。12月10日まで。

エリア一覧
北海道・東北
関東
東京23区
東京・多摩
中部
近畿
中国・四国
九州
海外
セレクト
動画ニュース