「ワールドリスニングデー」に合わせて7月18日・19日、身近な「まちの音」から、さいたま市の新たな魅力を再発見し、国内外へ発信する市民参画型のまち歩きイベント「サウンド・コミュニケーション・ウオークさいたま2026」が大宮で開催された。会場は「まちラボおおみや/アーバンデザインセンター大宮」(さいたま市大宮区宮町1)で、主催は、「Field Recording Club, Saitama(FRCS フィールドレコーディングクラブさいたま)」。
「フィールドレコーディング」とは、外に出て都市の環境音や自然の音を録音する活動を意味し、「サウンドスケープ(音風景)」とは、静けさや自然の音、まちの生活音など、人々を取り巻く音の世界を「耳で聴く風景」として捉える概念。1960年代末にカナダの作曲家R・マリー・シェーファーが提唱した。7月18日が誕生日であることにちなみ、毎年「ワールドリスニングデー」として、音の散歩(サウンドウオーク)や、「聴くこと」の大切さや環境音への意識を高めるイベントが世界各地で開催されている。
当日は、会場で簡単なレクチャーを受けた後、参加者は3つのグループに分かれて夕方の大宮の街なかを歩いた。パチンコ店が入るビルの音、商店街の音、駐車場の空間や店先の空間での音の広がり、自動販売機の音、寺の鐘の音、氷川神社の桜門が閉門する号鼓(ごうこ)の音、夏の氷川参道や竹林の音、夕暮れの大宮公園の森に帰るカラスの群れの鳴き声、池や小川の水の流れる音。「聴く」ことを意識してまちの音に耳を澄ませながら、徒歩20分(約1.5キロ)の距離を約2時間かけて歩いた。
同じ場所にいても参加者の印象に残った音や、記録した音はさまざま。見沼区から参加した女性は「各自同時に録音した川の音を遊園地の広場で一斉に再生すると、音だけでなく本当に川がそこにあるかのように感じられて楽しかった。とても新鮮な体験になった」と振り返る。小学生の酒井ひのでさんは歩きながら記録したメモを片手に「同じ『ブーン』でも、蜂の音と車の音で全然違うので、メモするのが難しかった。車の音は勢いがあるから、ちっちゃい『ッ』を最後に入れるとか工夫しながら違いをメモした」と話す。
プロジェクトチームの池上綾乃さんは、参加者の感想を読み、「同じ場にいたのに、それぞれ固有の体験をしていることに感動した」と話す。次回のワークショップのゲスト、パウロさんは「フィールドレコーディングは『シェアの機会』と表現していたのが、とてもしっくりきた」と印象を語る。
FRCS代表の温盛義隆さんは「なぜ今、この場所でこの音が鳴っているのかという、音の背景にある時間、場所、歴史、生態環境を丸ごとイメージしながら聴くという体験につなげてほしい」と言い、「普段は見過ごしているまちの面白さや『さいたまの音風景』を、皆さんと一緒に共有する時間になれば」と話す。
次回ワークショップは、ゲストにブラジルから作曲家・サウンドアーティストのパウロ・ダンタスさんを迎え、9月5日・6日に開催予定(要事前申し込み)。12月に3回目のワークショップ、来年2月にはプロジェクトを通して採集した音や記録(地図・写真・映像)を融合した総合的な空間展示とライブパフォーマンスを予定している。