パフォーマンスカンパニー「to R mansion(トゥアールマンション)」によるベイビーシアター「Creation for baby」が9月6日、「TOROto(トロト)」(さいたま市北区土呂町2)内の多目的ホールで開催された。主催はアーツカウンシルさいたまとポトフ企画。
市民が日常的にアートに触れ、新たな視点や創造的な喜びを体験するための参加型アートプログラム「さいたま ART ブリッジ 2026」の一環として企画。ベイビーシアターは昨年開催する予定だったが、雪の影響で中止となり、今回が初開催となった。当日は午前と午後の2回開催し、両回とも定員に達するほど反響があったという。
ベイビーシアターは、乳幼児と保護者が一緒に体験できるパフォーミングアーツ。五感形成が重要な時期とされる生後2カ月~14カ月の乳幼児と保護者を対象に行った。プログラムの演出を担当する「to R mansion」の上ノ空(うらわのそら)はなびさんは、スウェーデンでベイビーシアターを学び、日本でも精力的に活動している。「五感をフルに刺激するベイビーシアターは体験の濃度が高い。赤ちゃんはもちろん、親にとってもリラックスできる空間で、好奇心のままに楽しんでいただきたい」と話す。
今回のプログラムは、上ノ空さんによるオリジナル演出作品の初演。「TOROto」に置かれていた絵本「海いろの部屋」から着想を得たという。会場には海をイメージした青い光と海の香りが漂い、魚に見立てた洗濯ばさみやレインコートなど、日常的に使う物を天井からつるしている。会場の物は全て消毒し、乳幼児が自由に触れられるようになっている。パフォーマンス中の出入りも自由。
午前の回には10組の親子が参加。会場内を散歩して空間を楽しむことから始まった。パフォーマーが会場内をゆっくりと歩きながら、鉄琴やカスタネット、ピアノなどの楽器や歌、ダンスを披露。目の前で繰り広げられるパフォーマーのダンスに赤ちゃんも反応を見せていた。青から白、ピンク、朝を迎えたような温かな光に変わっていく空間で、親子がリラックスした時間を過ごした。中盤、傘で作った大きなクラゲが登場すると赤ちゃんが歓声を上げた。
東京2020オリンピックの開会式など、世界中でパフォーマンスを行ってきた同カンパニー。さいたま市の事業として行う魅力について、上ノ空さんは「地域の施設でできること」を挙げる。「体験してもらうことが大事。今回のようにアクセスの良い市内のスペースで行うことで、参加のハードルを下げたい。ゆくゆくは市の乳幼児健診のように皆が体験できるようになったらうれしい」と意気込む。
浦和美園から来場した1歳の幼児と小学1年の女児の母親は「いつもは活発だが、今日は不思議そうにじっとパフォーマンスを見ていた。新しい一面を見られた」と話し、小学1年の女児も「光が変わるのが不思議で楽しかった。家もこんな風にしたい」と笑顔で話していた。