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大宮の老舗料亭で「夏の泡祭り」 日本酒と料理のマリアージュ楽しむ

イベント参加者の集合写真

イベント参加者の集合写真

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 大宮の老舗料亭「一の家」(さいたま市大宮区高鼻町2、TEL 048-644-0165)で8月10日~12日、「一の家 夏の泡祭り」が開催された。

タイムやレモングラスを使った真鯵香味揚げ(関連画像)

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 同店の5代目店主の小田晋一朗さんと、フリーの日本酒コーディネーターとして各地で活躍するてるじいさんが共同で主催する同イベント。小田さんは「日本酒の品ぞろえの良さを知ってほしい」「いろんな人に料亭に気軽に来てほしい」という思いから、企画をてるじいさんに提案。料理と酒の力を使って何かできることはないかと考え、同イベントの開催に至った。

 イベントには3日間で70人程が参加し、各地のスパークリング日本酒やクラフトビールなどのドリンクと、この日のために創作された懐石コースを楽しんだ。懐石コース全6品のうち5品はマリアージュを楽しめ、それぞれに合うスパークリング日本酒も提供。料理の素材と酒の相性について、小田さんとてるじいさんが一品一品説明した。マリアージュ用の酒のほか、地元埼玉の北西酒造の日本酒や、COEDOビールも提供され、参加者はそれぞれの酒の説明を受けながら何種類もの酒と料理の組み合わせを楽しんだ。

 イベントのために創作された懐石コースは、酒との相性を軸に一から作り上げられた。小田さんとてるじいさん、同店板長の赤石さんは、この日のために何度も打合せを重ね、「香り」をテーマに素材と酒が一番良い状態で味わえる料理を創作。中には、ローズマリーやレモングラス、ミントなど日本料理では珍しい香草を使った料理もあり、和食の枠組みにとらわれない新たな挑戦が見られた。

 てるじいさんは「お酒と料理の相性というのは、思うほど単純ではない。本当に合う組み合わせを作り上げるためには覚悟が必要。妥協せずに100%素材とお酒の良さを生かし合った組み合わせを提供したかった」と熱心に話す。

 参加者はアンケートにも協力し、料理や酒の味、組み合わせたときの味わいなど、点数をつけつつ参加者同士で気に入った料理の話をするなど和気あいあいといした雰囲気で楽しんだ。

 東京都田町からイベントに参加した佐藤加菜子さんは「日本酒を若者に広げていこうという考えに共感し、一の家の日本酒会には何度も参加していた。今までは日本酒を主役にお酒を楽しむという内容のものだったので、今回のような料理と日本酒のマリアージュを楽しむ会は初めてだった。珍しい香草を使った料理なんかはイベントじゃないと味わえない。料理の幅が広がっているのが面白く、今までにない新しい可能性を感じた。マリアージュでの味わいに点数をつけるアンケートも新鮮だった」と笑顔を見せた。

 亀戸からイベントに参加した飲食店店主の伊達あきらさんは「てるじいさんのイベントには何度も参加しているがはずれがない。料理とお酒も素晴らしかったが、一の家のしつらえと歴史がさらにそれを引き立たせていて味わい深かった。参加することができて本当にうれしい」と話した。

 小田さんは「てるじいさんと仕事をするのは初めてでお酒への並々ならぬ情熱に圧倒されたが、仕事への芯の通った姿勢に刺激を受け、お互いに本気で仕事をすることができ楽しかった。ミントやローズマリーなどの香草を使った料理は、普段は出さない挑戦的な料理なのでおいしいかどうかだけでなく一の家の料理として認められるのか不安だったが、お客さまからは好感触な感想がもらえて新しい可能性が広がったと感じた」と話す。

 小田さんは「今回のイベントで泡酒の味わいへの理解が深まり、マリアージュについても勉強になった。若者も含め日本酒に目を向けてくれる人が増えるように、これからもいろんな形で挑戦を続けたい」と意気込む。

 営業時間は、火曜~金曜=11時30分~14時・17時~22時、日曜・祝日=11時30分~21時。月曜定休。

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