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北与野に本と人をつなぐ「でこぼこ書店」 書店×教育をコンセプトに

店主の富井弥さん

店主の富井弥さん

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 新刊と古本を扱う「でこぼこ書店」(さいたま市中央区上落合7)が11月1日、オープンした。

1階の新刊コーナー さまざまなジャンルの本が並ぶ

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 新刊・古本販売、古本買い取りのほか、貸しスペースを備えた2階建ての同店。店主の富井弥(わたる)さんは東京大学大学院教育学研究科を修了し、大学や大学関連団体でのキャリアや学びの支援など教育系の分野に長年携わってきた。今年夏に退職し、「組織の中ではなく、自分で好きなことをやってみたい」と考え、同店を開いた。

 富井さんは「『かけ算』で事業をしたいと考えていた。本好きなことはもちろん、前職の経験から知が蓄積する場所が必要と感じ、『書店×教育』に行き着いた」と話す。出版社や書店員などの経験はなく、書店経営については独学で学んだ。「個人書店の作り方」の本や、古書組合の講座、創業・ベンチャー支援センター埼玉の個別相談やセミナーなどで学び、県内の個人書店に直接話を聞きに行ったこともあるという。

 1階には新刊を置き、ジャンルは小説やエッセー、児童書や絵本、ビジネス書や教育、スポーツ関連本などと幅広くそろえる。2階には古本を置くほか貸しスペースを設ける。貸しスペースは無料で自主学習や休憩などに利用でき、貸し切りも可能(30分500円)。今後は小学生向けの「読む、書く、話す力を鍛える国語教室」や日常の学習に課題を感じている小中学生向けの学習サポートも計画している。富井さんは「塾だけでなく書店を経営している強みから、できるだけ授業料を抑えてサービスを提供できれば」と話す。

 12月には本に関するイベントを開催する。テーマは「私の人生に影響を与えた本」。富井さんは「いわゆる読書会ではなく、読書経験の一部を参加者同士で共有し、人と人、自分自身の新たな読書体験につなげてほしい」と話す。来年1月には、「●●さんの選書棚フェア」を行う。「本屋さんに自分が選んだ本を並べてみたい、一棚本屋などに興味はあるがハードルが高い」と感じている方に棚主になってもらいたいと募集したところ、応募枠は棚主初体験の方で既に埋まったという。富井さんは「書店での経験がない自分が本を選択するだけでなく、お客さまがどんな本を選ぶのかを知りたいという気持ちもある」と話す。

 「近くに住む小学生がよく本を読むようになった、と保護者の方から聞いた。売り上げに貢献するため、あえて当店で注文をしてくれる常連のお客さまも既にいてありがたい」と話す。「本だけでなく、人ともつながりたい。地域の方に集まってもらえる拠点になれたら」とも。

 営業時間は11時~19時。火曜定休。

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