埼玉県立浦和北高校演劇部が参加する創作集団「HIxTO(ヒクト)」による舞台作品「connexion (コネクション)芥川龍之介『蜘蛛の糸』より」が10月31日、さいたま市プラザノース(さいたま市北区宮原町1)ホールで上演される。
同舞台は、「心と身体で感じる芸術体験」を試みるプラザノース主催企画の一つ。演出は同区在住で演出・振付家の庄波希(しょう・なみき)さん。大阪芸大在学中、不明熱で検査入院をしたことをきっかけに創作活動を始めた。庄さんは「当時はヒップホップダンスを踊る側として活動していたが、病を患ったことで『生と死』を身近に感じ、創作したい衝動に駆られた」と振り返る。現在は大学非常勤講師を務めながら「身体から社会をデザインする」ことをコンセプトにした「HIxTO(ヒクト)」の演出家として、「いのち・社会・他者との関係性」をテーマとした創作に取り組む。
創作集団「HIxTO(ヒクト)」が群舞、言葉、身体表現によって文学を再解釈する舞台作品は、宮沢賢治「銀河鉄道の夜」、手塚治虫「火の鳥」に続いて3作目。「原作では『地獄と極楽との間は、何万里となくございます』と書かれ、およそ地球4周分の距離と推測される。途方に暮れるほど離れた地獄へ釈迦(しゃか)が垂らしたクモの糸1本に込められたものとは何だったのか。今ここで生きている人たちの体で、作品を再現して捉え直したいと考えた」と庄さんは説明する。
主人公「カンダタ」を演じるのは2人。狂気的なカンダタをAYA RACOV(アヤ レイコブ)さん、不安に駆られるカンダタを琉慎さんが演じ、同じせりふを全く異なる表現で発する。2人ともダンサーで、せりふのある役は初めて。RACOVさんは「自分の演じるカンダタは『自分は偉大、生きるに値する』と考えているが、琉慎さんの演じるカンダタは『できるなら助けてほしい』と悲観的。相反する2つの姿はどの人の内面にも潜んでいると思う。人間は元々矛盾をはらんでいるから」と含みを持たせる。琉慎さんは「演出は即興で生まれてどんどん変わる。本番までにどうなるか分からないのが楽しみ」と話す。
同施設の齊木菜都子さんは「教科書などで目にするだろう『日本名作文学』を取り上げるのは初めて。今年は芥川龍之介の百回忌という印象深い年。プロの舞台体験を通じて、未来を担う子どもたちの夢を応援できたら」と期待する。庄さんは「やる気いっぱいの高校生たちと舞台を作れることは楽しみ。その人にとって『地獄』と『極楽』とは何か。見る人が物語に没入できる舞台を作り上げたい」と意気込む。
開演時間は14時(上演約60分)。チケットは、一般=2,000円、高校生以下無料(同伴の保護者1人のみ1,000円)。全席指定。